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日本国籍に影響を及ぼす米国市民権取得*

日本国籍に影響を及ぼす米国市民権取得*

「二重国籍」とは簡単にいうと有効なパスポートを2冊持つことにより、2カ国で国民としての権利を得、責任を負う資格のことをいいます。過去数10年に渡り、多くの国々では移民法を緩和し、外国籍を取得しても二重国籍を維持できることになっている傾向が見受けられます。一方、日本では残念ながら、まだ二重国籍の存在は認められていません。したがって、米国市民になろうと考えている時、帰化の利点と不利点をよく比較し、検討するべきでしょう。

Q:永住権を維持することと比べて、米国市民権を取得する主なメリットは何でしょうか。

A:永住権保持者は長期にわたり米国外に滞在する場合、グリーンカードを喪失してしまうリスクがあります。しかし、帰化して米国人になると、長期にわたり米国外に滞在しても、いつでも米国市民として米国に帰国することができます。例えば、以下の場合に米国市民権取得を一つの選択肢として検討するべきでしょう。

①日本に居住している親の看病でいつ米国に戻れるかが分からない場合

②米国市民の配偶者が米国外へ派遣されたため、配偶者と同行したい場合

③日本人の配偶者が永住権保持者の配偶者として、永住権を申請したが取得するまで数年もかかりそうな場合

Q:米国市民権を取得することにより、日本国籍に及ぼす法律効果は何でしょうか。

A:日本の国籍法にしたがって、日本人が外国籍を取得すると、日本国籍を喪失することになります。一方、米国政府は、二重国籍を「法律上認められている資格」と認識し、米国人が他の国籍を持つ事を認めています。したがって、米国市民権の宣誓式の際、米国政府はグリーンカードを受け取りますが、日本のパスポートを没収したり、日本政府に連絡を取るわけではありません。しかも、帰化申請情報は個人情報として扱われ、どこかに掲示されることもありません。その結果、2冊のパスポートを持ちながら、今までとあまり変わりなくハワイに暮らしている日本人がたくさんいらっしゃるのは現実です。

Q:日米2国間で帰化申請情報が共有されていないとすれば、日本政府は通常、どのようにして日本国籍の喪失が分かるでしょうか。

A:パスポートの切替を申請する際、在ホノルル日本国総領事館等に行き、申請書の他に有効な米国ビザ及びI-94、もしくはグリーンカード等の米国滞在資格が確認できる書類を提出しなくてはなりません。その時、窓口の人に正直に市民権の取得を説明し、初めて分かる方も少なくはありません。

* ハワイの日本語新聞”日刊サン“に掲載されたコラム記事です。