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不法移民救済の大統領令を地裁が一時差し止めしたことによる影響*

不法移民救済の大統領令を地裁が一時差し止めしたことによる影響*

現在約1100万人の不法移民がアメリカ国内にいるとされています。この問題に対応するため、議会では何十年も、不法移民が市民権の獲得につながる法案が検討されていましたが、今でもそのような包括的移民改革法案は通過されていません。

DACA injunction

大統領権限を行使し,2012年にオバマ大統領がDACAと呼ぶ子供の時に親に連れられて米国に不法入国し滞在を続けた若者に対する一定期間の強制送還の停止と、合法的に働けるプログラムを施行しました。2014年11月にオバマ大統領は年齢の上限の撤廃等によってDACAプログラムを拡充し、米国市民権や永住権保持者である子どもを持つ不法移民を対象するDAPAと呼ぶ新規プログラムの実施を発表しました。DAPAが施行されば、約400万人の不法移民が強制送還の延期と労働許可を申請することを可能にします。そして、2015年2月16日にこの大統領令の効力を一時差し止める命令をテキサス州の連邦地裁判事が下し、オバマ政権がその命令を受け、拡大されたDACAとDAPA申請の受け付け開始を延期しました。

Q: 厳密に言うと地裁がどんな判断をしましたか。
A: 連邦地裁はDACAやDAPAが合憲かどうかを判断せず、訴訟中は実施を差し止めるとしました。行政手続法に従って、連邦が新DACAとDAPAを実現するために、公衆に通知し、議論する機会を与えるべきであったのに、連邦がその必要な行政手続きを経ていなかったという決定です。

Q: 大統領権限を行使し、不法移民を強制送還の対象から外すことは違憲といった批判がありますが、どう思いますか。
A: 専門家の間では貴重な執行予算を生かすために、深刻な犯罪者や脅威と見なされる人物の強制送還に順位付けが行えるこが十分に大統領の権限の範囲内だと広く一致しています。連邦政府は何十年もジョン・レノン等の特定の移民に対し、強制送還を免除しています。同様に、規制の下で強制送還の対象から外した不法移民に労働許可を与えることが移民局の権限の範囲内だと大方の専門家が認めています。そういう意味ではDACAとDAPAはこの長年抱き続けた政策を正式に認めたことにすぎません。

Q: 私がここ数年、アメリカにオーバーステイをしてしました。今、私が何をすべきでしょうか。
A: 最終的に連邦が法廷で勝利し、新DACAとDAPAを実行するとの見方が多いです。DACAもしくはDAPAの申請条件を満たせば、地裁の差し止めが取り下げられることに向けて、申請に必要な書類の収集を着手し、審査に引っかからないよう、移民法が専門の弁護士に依頼するのがよいでしょう。

* ハワイの日本語新聞”日刊サン“に掲載されたコラム記事です。

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